万年筆、かわいいけど面倒。の正体と付き合い方

万年筆とペン立てが置かれた書き物机 Uncategorized

見た目に惹かれて万年筆を手に取ったものの、使い始めてから「思っていたより面倒だな」と感じたことはないでしょうか。軸の色やペン先の佇まいに一目惚れして買ったのに、気づけば引き出しの奥にしまい込んだまま、という話もよく耳にします。今回は、万年筆の「面倒」がどこから来ているのかを一度分解したうえで、その面倒とどう付き合っていけばいいのかを、私なりに考えてみたいと思います。

万年筆に惹かれて買ったのに、感じてしまう「面倒」の正体

万年筆のかわいらしさは、軸のデザインだけでなく、インクを選べる楽しさや、書くたびにペン先が紙に吸い付くような書き心地にもあります。その魅力に背中を押されて買ってみると、次のような場面で「あれ、思ったより大変だ」と感じることが多いようです。

インクを補充するときに手を汚してしまう。カバンに入れて持ち歩くと、気圧の変化やうっかりの衝撃でインクが漏れていないか気になる。しばらく使わずにいると、ペン先からインクが出てこない「出渋り」が起きる。定期的に水で洗浄しないと、インクの色を変えたときに混ざって濁ってしまう。どれも、ボールペンやシャープペンにはなかった手間です。

かわいい道具のはずなのに、気を遣う場面がこんなに多いのか、と感じてしまうのも無理はありません。

その「面倒」、実は二種類に分けられる

ここで一度立ち止まって、面倒の中身を分けてみると、付き合い方が見えてきます。

一つは、万年筆という筆記具の構造上、どうしても避けられない手間です。インクを使う以上、補充や洗浄といった作業はゼロにはできません。しばらく使わなければ出渋りが起きるのも、液体インクという仕組みそのものに由来しています。これは万年筆を選んだ時点である程度受け入れるしかない部分です。

もう一つは、工夫次第で減らせる手間です。インク漏れを気にしながら持ち歩くこと、洗浄のタイミングを忘れて放置してしまうこと、自分の使用頻度に合わないペンを選んでしまっていること。これらは、道具選びや習慣の組み方次第で、かなり負担を軽くできます。

「面倒だから向いていない」と結論を出す前に、自分が感じている面倒がどちら側のものなのかを見極めると、無理なく万年筆と付き合える道が見つかりやすくなります。

面倒を減らすための、万年筆との付き合い方

工夫で減らせる手間について、私が実際に意識していることをいくつか挙げてみます。

まず、毎日持ち歩くか、自宅やデスクで使うかによって、ペンのタイプを変えることです。持ち歩く頻度が高いなら、吸入式よりもカートリッジ式やコンバーター式のほうが、インク漏れのリスクや補充の手間を抑えやすくなります。カートリッジ式は構造がシンプルな分、メンテナンスの負担も軽いので、「まずは面倒を減らしたい」という方には扱いやすい選択です。

次に、置き場所を決めてしまうことです。使うたびに違う場所にしまうと、存在を忘れて長期間放置してしまい、結果的に出渋りを招きます。ペン立てでも引き出しの一角でも構わないので、「万年筆はここ」という定位置を作っておくと、自然と使う頻度が上がり、洗浄のタイミングも逃しにくくなります。

洗浄についても、構えすぎないことが続けるコツだと感じています。インクの色を変えるタイミングや、月に一度など緩やかなペースを決めておき、ぬるま湯に数分浸けておくだけの簡単な手入れで十分という考え方で続けています。完璧な手入れを目指すより短時間でもいいので習慣化してしまうほうが、結果的に長く付き合えるように思います。

紙との相性も、地味に見えて面倒の正体の一つです。万年筆のインクは紙によってにじみ方が大きく変わるため、和風の便箋を選ぶ際に紙質と筆記具の相性を確認しておくことをおすすめしたいところです。せっかく書いたのに裏抜けしてしまったり、インクが広がって滲んでしまったりすると、それだけで万年筆が面倒な道具に感じられてしまいます。逆に相性のいい紙に出会えると、書くこと自体がぐっと楽しくなります。

また、「長い手紙を書かなければ」という気負いが、万年筆を使う機会そのものを減らしてしまうこともあります。そんなときは、四~五行で気持ちを伝えられる小さな紙を一枚用意しておくと、気軽にペンを取り出すきっかけになります。使う頻度が上がれば、それだけ出渋りの心配も減っていきます。

それでも万年筆を使い続ける理由

ここまで面倒な面ばかり挙げてきましたが、それでも万年筆を手放さない人が多いのには理由があります。

筆圧をかけなくても線が出る書き心地や、同じ文字でもその日の調子によって少しずつ表情が変わる手書きの質感は、他の筆記具では得にくいものです。インクや紙を変えるたびに新しい発見があるのも、万年筆ならではの楽しみだと思います。

そしてもう一つ、丁寧に使えば何十年と使い続けられる道具だという点も見逃せません。消耗して買い替える道具ではなく、手入れをしながら長く付き合っていく道具を持っているという満足感は、面倒の対価として十分に見合うものだと感じています。

まとめ:面倒を受け入れてでも使う人へ

万年筆の面倒には、避けられない部分と、工夫で減らせる部分があります。すべての面倒をなくそうとするのではなく、自分の生活のリズムに合わせて負担を軽くする工夫を重ねながら、残った手間は「かわいい道具に払う対価」として受け入れる。そんな付き合い方ができると、万年筆はぐっと身近な存在になるのではないかと思います。

かわいいけど面倒、という気持ちを抱えたまま引き出しにしまい込んでいる方も、まずは置き場所を決めることから、少しずつ付き合い方を見直してみてはいかがでしょうか。

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