便箋を選ぶとき、多くの人はまず柄や色から入るのではないかと思います。私自身もそうでした。けれど和風の便箋を扱うようになってから、紙の厚みや質感、便箋と封筒の組み合わせ方まで含めて「選ぶ」ことの奥深さに気づかされました。今回は、和風の便箋やレターセットを選ぶときに私が意識していることと、基本的な書き方のマナーについて、まとめてみたいと思います。
まず便箋のサイズについてですが、和風の便箋には大きく分けて「一筆箋」「便箋(一般的なもの)」「巻紙・巻子」といった種類があります。一筆箋は細長い形状で、一言添えるのに向いています。さらに一回り小さな「まめも」と呼ばれる紙もあり、ちょっとした一言を伝えたいときに重宝します。一般的な便箋はB5判を横に半分にしたサイズ(182×128mm前後)が主流で、フォーマルな手紙にもカジュアルな手紙にも使えます。改まった手紙には、罫線のないものよりも、薄く罫線が入ったものの方が文字が揃いやすく安心です。
紙質についても、和風の便箋には和紙特有の風合いを活かしたものと、洋紙に和柄をあしらったものの二種類があります。和紙タイプは、繊維の凹凸や透け感が美しく、季節の便りや目上の方への手紙に選ぶと特別感が出ます。一方で、筆記具との相性には注意が必要です。万年筆やインクペンを使う場合、にじみやすい和紙もあるため、試し書きをしてから本番に臨むことをおすすめします。
便箋を選ぶときにもうひとつ気をつけたいのが、封筒との組み合わせです。便箋のサイズに対して封筒が小さすぎると、折り目が増えて見た目が窮屈になります。逆に大きすぎると、中で便箋が動いてしまい、開封時の印象が良くありません。一般的には、便箋を三つ折りにしたときにちょうど収まる「洋形封筒」か、二つ折りで収まる「和封筒」を選ぶとバランスが取れます。
書き方のマナーについても触れておきます。目上の方への手紙では、便箋の一枚目に本文をすべて書き切らず、二枚目に一行でも文字を送るようにする、という慣習があります。一枚目だけで用件が終わってしまうと、「早く終わらせたい手紙」という印象を与えてしまうためです。また、便箋を折るときは、文字が書かれている面を内側にして三つ折りにするのが基本です。封筒に入れる向きも、便箋の書き出しが封を開けたときにすぐ見えるように入れるのがマナーとされています。
季節の挨拶を書く場合は、便箋の色や柄も季節に合わせると、受け取った側に丁寧な印象を与えられます。春は桜や若草色、夏は涼しげな青系、秋は紅葉や実りを感じさせる色、冬は雪や松をモチーフにしたものなど、季節感のある一枚を選ぶだけで、手紙全体の印象が変わります。
私自身、便箋を選ぶようになってから、手紙を書く前に「どんな便箋を使おうか」と考える時間そのものが楽しみになりました。用件を伝えるだけなら、実はメールやメッセージアプリで十分な場面がほとんどです。それでもあえて手紙を選ぶのは、紙を選ぶところから始まる、その時間の愉しさがあるからなのだと思います。このサイトでは、こうした和風の便箋やレターセットについて、産地や店ごとの特徴も含めて、これからも紹介していく予定です。

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